旅と転倒

 さすがに日本を三周近く走っていると、どこかでこけるものですが、それは2度目の北海道ツアーでの出来事でした。今はなき瀬棚線終着の瀬棚駅に駅スタンプを押しに寄ったのですが、駅は改札直前でかなりの人で込み合っていました。小さな駅前に止めた私の単車は好奇心の的で、色々話し掛けてきた人と軽く会話をしてさあ出発です。
 しかし、いつもより余計目に吹かしたのが悪かったようで、への字型になった路面に気付かずにフロントを浮かしてしまい、転倒してしまいました。おまけに、転倒した時に左足を後輪に挟み込まれ身動きが取れません。幸い速度が出ていなかったのと、ブーツの固い部分が後輪と車体の隙間にかみこんだため怪我はなかったのですが自力では抜け出せません。仕方がないので道路の真中で寝そべっていると、駅から数人が助けに来てくれました。
 単車を浮かせて私を引きずり出そうとしてくれたのですが足を噛み込まれていて無理でしたので、もう少し人数を集めてもらいました。まず単車にまたがった状態で私ごと単車を起こしてもらい、直立した状態でギヤをニュートラルに入れて1mほどバックしてもらって左足をフレームから引き離しました。
 幸い単車も無事で、私も肋骨を打った程度で済みましたが、汽車に乗る人に助けてもらったため出発を止めてしまいました。数分遅れで発車したあとの瀬棚駅には私と駅員の2人だけ。恥ずかしいやら痛いやらでお礼も早々に出発しましたが、わき腹をかなり打って思うように走れず、予定のキャンプ場にたどり着けない上に雨も降り始めたため、その日はバス停で野宿となりました。

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